Codo Advisoryは、世界と日本の気候変動対策や企業のサステナビリティに関する最新のイベントやトレンドをお伝えしております。先週の注目ニュースをまとめてご紹介いたします。
国際|気候変動に関する世界最大の国際金融連合が移行計画を積極的に推進
- 「グラスゴー・ファイナンシャル・アライアンス・フォー・ネット・ゼロ(GFANZ)」は、元イングランド銀行総裁のマーク・カーニーによって1年前に設立された。ブラックロック、JPモルガンチェース、HSBCといった金融業界の巨人たちが集まり130兆円規模となったこの組織はいま、石炭金融の支持者がいるアジアでさらに拡大する計画を立てている。
- GFANZの目的は、金融機関からネットゼロへのコミットメントを得ることであったが、今後はさらにはこのコミットメントを現実的な移行計画に落とし込むことを支援する予定だと、カーニー氏はBloombergに報告した。運動家からの圧力が強まる中、加盟企業の説明責任について問われると、「アライアンスは執行機関ではなく、一貫性を高めることに貢献する」と答えている。
- カーニー氏は、金融はグリーン経済への移行に不可欠な役割を果たしているが、この動きがより革新的にに進むための「より明確で予測可能な」ポリシーミックスを望んでいる。
Comment from Codo : 日本の大手金融機関もGFANZに加盟しています。この機関がGFANZの理念や提言を、実際の戦略や業務にどのように適用していくのかが、今後の注目点になります。また、ネットゼロの目標達成に向けた移行計画がどの程度実現されているかも、必要な指標となるでしょう。far.
国際|生物多様性のための金融財団が炭素市場のガバナンス強化を要請
- 45の金融機関が参加するFiance for Biodiversityは、「自主的な炭素市場は、脱炭素経済への移行という公共目的に貢献しているが、その設計は、ほとんどが弱すぎる価格設定メカニズムに依存しており、この最終目標に向けて競合する利害を調整できないことが多い」と警告しています。
- 環境経済学者によれば、炭素市場の抑止力を高めるには、1トンの炭素に少なくとも100ドルの価格をつける必要がある。現在の炭素クレジット市場の価格は、ヨーロッパでは85ドル、カリフォルニアでは31ドル(強制遵守市場)、航空産業では5ドル、技術産業では4.5ドル(自主市場)である。
Codo’s comment : 日本にはまだ炭素市場は存在しない。日本は2012年にアジアで初めて炭素税を導入し、「2050年までに日本の温室効果ガス排出量の80%を削減する」ことを目標としていた。しかし、この税額は約3ドル(OECDやG20の中でも最低価額)で、実質的には存在しないに等しい。
欧州・米国|欧米がリードするグリーンボンドの発行額が急増
- Climate Bondsの報告書によると、グリーンボンドは、他のサステナビリティ関連の資金調達用債務と合わせて、前年比55%以上増加し、1兆1,000億ドルに達した。欧州はグリーンボンドの最大の発行者(総額7580億ドル)であり、国別では米国(819億ドル)が引き続き世界一位。
- 生命を脅かす気候変動に直面している今、ラベル付き債券市場は、必要不可欠になった大規模な投資を迅速に調達するための強力なツールである。この拡大する市場は、適切なポリシーミックス、タクソノミー、報告業務などによってサポートされなければならない。
Read more about this story: Banking Exchange
欧州|金融政策決定において脱炭素化が重要な要素になるとECBが発言
- 世界中の中央銀行が、エネルギー産業における危険なインフレ傾向(欧州と中国で7%、米国で4%)を認識し、化石燃料関連への投資を削減するよう働きかけている。
- 先週、欧州中央銀行(ECB) 総裁はIMFで、価格高騰に直面している中、「エネルギー転換を加速させる必要性」を強調した。また、欧州で推進している脱炭素化は、金融政策を行う上で無視できないものであるとECBが述べている。
- 日本では、これまで日銀が金融機関が気候変動に関連する国家的な取り組みに投資するための専用ファンドを設立したのみに止まっている。
Read more on this story : Nikkei, Politico
米国|寛大な株主のおかげで、米大手銀行は気候変動株主提案に抵抗し続ける
- バンク・オブ・アメリカ 、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ は最近、気候変動に関心を持つ投資家による化石燃料プロジェクトからの投資撤退を求める株主提案(嘆願書)を拒否した。
- この気候変動株主提案の支持者(13%)は、ほとんどが米国の年金基金であったが、グリーンファイナンス対策や独自の気候変動に関する誓約に積極的なノルウェー年金基金、ブラックロック、バンガードなどからの支持が得られなかったのは残念であった。
- バンク・オブ・アメリカのCEOは、最終的には顧客側に責任があり、顧客が「自ら」の移行計画に取り込む他にないと述べた。シティグループのCEOも、化石燃料経済体系を「一晩で」変えることは不可能であると指摘した、とフィナンシャル・タイムズは報じている。
Read more about this story: Vox
Comment from Codo : 日本では初めて、2020年にNGOの気候Network(日本)とMarket Forces (オーストラリア)による、みずほ銀行を標的にした気候変動株主提案が提出された。この株主提案はアクティビストの株主が予想していたよりも多く、34.5%の賛成票を集めた。2022年、三井住友フィナンシャルグループを標的に同様の要請が続いている。
英国|英企業の気候情報開示を支援する新たなタスクフォースが設立
- 英経済・財務省は、企業の気候移行計画関連情報の開示を標準化し、グリーンウォッシングを防止するためのベンチマークを開発することを目的とした、移行計画タスクフォースを発足した。
- 英国は、グリーンファイナンスのグローバルハブを目指しており、昨年、SDR(Sustainability Disclosure Requirements)の概要が発表された後、英金融機関や上場企業に対して情報開示が義務付けられると発表した。
- 移行計画タスクフォース(TFT)は、TCFD、GFANZ、ISSBなどの既存のフレームワークをベースに政策立案などを進める予定である。
Read more on this story : FT Adviser, Business Green
中国|米国を抜き、世界第2位の気候変動ファンド市場を構築
- 昨年、中国の気候変動ファンド市場は470億ドルに倍増した。規制が徐々に厳しくなり、国内需要が拡大していることが要因であると、サステナビリティ研究者がEnvironmental Financeに説明した。中国は現在、欧州(3,250億ドル)に次いで第2位となっている。
- 気候変動関連ファンドの委任(化石燃料に関連する活動への支援をしないこと)が、活動範囲の拡大を可能にしているため、この急劇な成長トレンドは世界中で見られている。気候変動に関心を持つ投資家は脱炭素企業への消極的な投資だけでなく、多様な気候変動対策に向けた投資戦略を求めている。
- 中国市場の大きな違いは、国内産業(太陽光、風力、電気自動車)を主なターゲットにしていることである。この分野では、すでにさらなる技術革新が迫っている一方で、韓国だけが市場を拡大している地域であり、中国が少し異端であることは注目に値すると言える
This edition was prepared by Jeanne Hamidou and reviewed by Stéfan Le Dû.
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