ウィークリーニュース | 2022年5月15日~22日

Codo Advisoryは、世界と日本の気候変動対策や企業のサステナビリティに関する最新のイベントやトレンドをお伝えしております。先週の注目ニュースをまとめてご紹介いたします。

国際|「炭素爆弾」:グリーン転換を失敗に終わらせるプロジェクト群 

-英国のガーディアン紙は、気温の1.5°上昇を抑える世界中の取り組みを阻害する石油・ガス大手企業が約195のプロジェクトを計画していると明らかにした。化石燃料の生産を促進するための大規模な投資計画は、この産業がもたらす高い収益に動機づけられている。しかし科学者は、化石燃料を大幅に削減しなければ、我々は「すべての人にとって住みやすく持続可能な未来を確保する最後のチャンス」を失うと主張している。 

-「炭素爆弾」と呼ばれるこれらのプロジェクトから発生する排出量は、中国(世界最大の排出国)のCO2排出量の10年分に相当すると予想されている。 

– ガーディアン紙によると、化石燃料の拡張計画が最も大きい国は、米国、カナダ、オーストラリアで、これらの国は石油・ガス産業への補助金が最も手厚い国でもあるという。 

欧州|グリーンボンド市場拡大に向けて、より厳格なグリーンボンド規制へ 

– EUのグリーンボンド基準には、より厳格な規則が導入される見込みであり、グリーンボンド市場全体に影響を与えることが予想される。この基準は、持続可能な投資とEUの気候変動目標の達成を促進することを目的として、昨年7月に発表された。 

– この新しい規則の提案には、透明性の向上、グリーンウォッシュ防止の取り組み、監督の強化が含まれている。例えば、EUグリーンボンドラベルを利用して債券のすべての発行者に対して、気候変動への移行計画が認定され、または事業活動が環境に与える影響についての情報開示が求められることになる。  

Codoからのコメント:脱炭素移行戦略(計画を含む)は、企業の気候変動対策に不可欠な要素であり、このような戦略と計画がなければ、企業が設定した目標もバーチャルなものに留まってしまう。そのため、規制当局、投資家、NGOは、情報開示と独立した評価により、具体的で信頼できる移行戦略を求めるようになってきている。 

EU|クリーンエネルギーの導入を加速し、化石燃料から脱却するための新計画 

– 欧州委員会は、近い将来ロシアの化石燃料から脱却し、再生可能エネルギーとエネルギー効率化の取り組みを大規模に展開するための戦略であるREPoweEU計画(2027年までの追加投資額は2,100億ユーロ)を発表した。 

– この計画は、エネルギーの自立を促進し、グリーンな移行を支援することを目的としており、主要な再生可能エネルギープロジェクト(ソーラー戦略、グリーン水素の利用拡大)の立ち上げを加速させる道筋も示している。 

– 化石燃料からの早期脱却により、欧州は世界レベルで気候変動との闘いをリードすることを目指している。欧州の政策立案者は、EUグリーン・ディールに積極的に取り組んでおり、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発したことで、このプロセスを加速させる圧力が高まったという。「欧州がロシアから輸入する石炭、ガス、石油に1日10億ドルもの支出を続けることは耐えられない」とブルームバーグがコメントしている。 

英国|規制当局が「巨大な風評リスク」であるグリーンウォッシングに警告 

– 英国の金融行動監視機構は、シェアアクションズ(NGO)が主催した生物多様性円卓会議において、投資家にとって「巨大な風評リスク」でしかないグリーンウォッシングの防止に取り組むようにと金融業界に促した。 

– 英国のUKSIFA(UK Sustainable Investment and Finance Association)は、数多くの誠実なイノベーションが行われている中で、グリーンウォッシングを特定することが困難であることを認識した。金融アドバイザーが信頼できるグリーン取引商品を選別するために、今後の情報開示フレームワークやラベリングツールなど、より多くの規制を設計すべきであると指摘した。 

– また、緑の党は、GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)のような一部のイニシアチブとメカニズムが、主張するほどには気候変動アジェンダに効率的に貢献できておらず、説明責任は効率的なルール作りの重要な要素であると指摘した。 

日本|気候変動に関連した異常気象が記録的な損失をもたらす 

– 日本における極端気象に関する研究は、人間活動によって生じる気候変動が、巨大台風、破壊的な暴風雨、豪雨などの壊滅的な気象現象の可能性を高めていることを明らかにした。 

– また、これらの大規模な被害に関連する費用も同様に増加することが予想される。例えば、気候変動による台風12号(ハギビス)の時の降雨量の増加は、40億ドル相当の損害をもたらすと推定されている。 

– 研究者の一人は、「化石燃料を燃やし続けることの悪影響は今や明白であり、日本のような豊かな国でもすでに感じる」と結論付けている。 

日本|政府による脱炭素化のための投資を促進  

– 日本政府は、エネルギー効率の向上と代替エネルギー源への投資に特化した20兆円規模の基金を計画している。これは、日本経済の成長を促進するための岸田総理の「グリーン・トランジション」に基づく回復計画の一部であり、今後数ヶ月の間に、この新しい方向性に沿ったさらなる補助金やインフラ計画が発表される予定である。 

– この計画の財源として、政府は炭素税やその他の新たな歳入源を導入することになる。経済産業省は、2050年までにネットゼロを達成するために、10年間で150兆円を集めることを目指している。 

Codoからのコメント :日経アジアによると、政府は脱炭素インフラへの支援に加え、「企業が自ら長期計画を立てられるための補助金」を導入する方針とのこと。これは、これまでビジネスモデルの計画や変革よりも、技術的な解決策に主眼を置いてきた日本において、歓迎すべきイニチアチブであろう。 

日本|国内自動車メーカーは「ゼロ・エミッションシフトへの準備が最も遅れている」 

– インフルエンスマップ(英国の独立系シンクタンク)は、日本の自動車メーカーが、世界の競合他社と比較して、いかにグリーンシフトへの準備が遅れているかを、最新の調査で明らかにした。 

– 国内トップのトヨタ、日産、ホンダの電気自動車生産はすでに遅れており、国内での市場規模も例外的に小さいままである。また、2029年にはテスラ、メルセデス・ベンツ、BMWのゼロ・エミッション車比率がそれぞれ100%、56%、45%になると予想されているのに対し、日産は22%、トヨタは14%にとどまる見込みである。 

– トヨタは水素をカーボンニュートラルへの重要なソリューションと位置づけているが、水素自動車は10年後までに世界の生産台数のわずか0.1%にしかならないと予想されている。このような同業他社の基準との不整合は、日本の自動車メーカーの「消極的な気候変動政策」に由来すると、インフルエンスマップは指摘している。 

Codoからのコメント: 今回のインフルエンスマップの調査は、WBA(World Benchmarking Alliance)が発表した、日本企業の脱炭素移行戦略の遅れを裏付けるものである。WBAの最新のランキングでは、日本企業で最も高い評価を得ているトヨタは30社中10位で、タタ・モーターズ(インド)と同じレベルである。他の日本企業はすべて下位3分の2に入っており、上位9社は西欧と中国企業が占めている。 

This edition was prepared by Jeanne Hamidou and reviewed by Stéfan Le Dû.

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上記の記事は、Codo Advisoryの専門家チームが、一般紙、専門紙、公的機関、非営利団体の出版物など、国内外の主要な情報源から厳選したニュースをまとめたものです。記載されたすべての意見は、参考文献の著者の意見のみを反映するものです。

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Codo Advisory は「持続可能社会に向けた日本企業の革新的行動を促し、その鼓動を世界に響かせる」をミッションに、脱炭素経営への移行戦略の策定・評価・モニタリング等を実施します。ゼロカーボンシティを表明し、かつ産学官が一体となって国際金融機能を推進する福岡市に本社を構え、2022年4月より活動を開始しました。サービスの詳細チーム・ お問い合わせ

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