気候変動への影響の開示と長期的な脱炭素化目標の設定の間に、企業はミッシングリンクである脱炭素化移行戦略を策定する必要がある。欧州で CDPとADEMEが開発したACT手法は、最も適切なフレームワークとして国際的に認知されつつあります。この度、ACTが日本にも導入された。
最新の研究によると、大手石油会社の気候変動に関する主張は、自社の行動と一致してない。同報告書の中で、大手石油会社のグリーンウォッシングを指摘し、気候変動に関する誓約が増加しているものの、具体的な行動はほとんど見られないことを研究者が明らかにした。
投資者、NGO、政府等からの要請が増えている中、最もGHG排出量の多いセクターに属している企業が危険な状態に陥っている。去年の5月にオランダの裁判所は、Shellの気候変動対策は具体性に欠けると判断し、同社にCO2排出量の45%削減を命じた。企業がグリーンな移行をどのように編成しているかを、ステークホルダーが確認するためには、より信頼性の高い評価が必要である。
グローバル投資家に対して日本企業の魅力を高めるために、 Codo AdvisoryはACT (Assessing Low Carbon Transition)方法論を使用している。ACT方法論は、セクター別のベンチマークに基づき、移行戦略の評価とそのスコアリングを提供することで、企業の炭素会計への尽力と野心的な目標を結びつける。ACTイニチアチブは、未来志向でセクター固有の方法論を用いて、組織が脱炭素経済への移行にどの程度準備できているかを評価し、移行戦略の策定・改善、モニタリングなどを通じてサポートする。
ACT: ヨーロッパから日本へ
ACTはADEME(フランス環境エネルギー管理庁)とCDPの共同イニチアチブである。またCDPの2021‐2025戦略計画の一部であり、UNFCCC事務局のGlobal Climate Agendaの共同ボランタリーイニチアチブでもある。CDPのウェブサイト上ではこのように説明されている:「「世界的に認められているCDPの報告システムにより、企業はベストプラクティスを理解し、同業他社とベンチマークしながら、気候変動に取り組むための有意義なステップを踏むことができる。ACTの手法は、CDPの気候変動に関する質問票を補完するもので、科学的根拠に基づく目標イニシアティブ(SBTi)のセクター別脱炭素化アプローチを用いて、各企業に排出量シナリオに沿った脱炭素化経路を提供する」。
フランスで最初に実施されたACTは、今日ではヨーロッパ、中南米(ブラジル、メキシコ)、カナダの企業でますます利用されるようになった。南米におけるACT-DDPプロジェクトでは、ブラジルとメキシコの主要企業20社の脱炭素化戦略および移行計画を評価し、さまざまな産業分野でボトムアップのセクターパスウェイを構築することを可能にした。
CDPの気候変動対策に関する最新のテクニカルノートにおいて、12の報告フレームワークとイニシアチブを比較し、ACTが最も包括的で、移行戦略の9つの主要要素(ガバナンス、シナリオ分析、リスクと機会、ネットゼロ達成戦略、財務計画、目標、包括的GHG会計、政策、バリューチェーンの関与)をカバーしていると評価された。


TCFDやGFANZなど、様々な主要な国際的イニシアティブから認識の広がり

ACT手法は、GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)にも「「CDPは、企業が気候変動や環境に関する情報開示を行うためのツールを提供し、ACTフレームワークを通じて、移行計画向けの枠組みを公表した」と認められ、WBA(World Benchmarking Alliance)による企業の脱炭素移行戦略の評価においても積極的に利用されている。今までに、全世界で400社以上がACT評価を受け、そのうち180社の評価が、CDPとWBAが共同で作成した「Climate and Energy Benchmark」に掲載されている。WBAのコミュニケーション・オフィサーは「ACTは、民間企業がパリ協定のような国際的な気候変動目標に対し、実質的な貢献の責任を果たし続けるための包括的なアプローチである。」とコメントしている。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、気候変動リスク軽減のための企業行動に関するガイダンスを投資家や企業に提供するイニシアティブで、ACTを移行戦略のセクター別手法として特定した。
国際レベルでは、ACTはパリ協定の実施を支援しているUNFCCC事務局のGlobal Climate Agendaによる唯一の企業気候説明責任イニシアティブである。ACTの方法論は、SBTiのセクター別アプローチや国際エネルギー機関のネット・ゼロ・パスウェイなど、認定されたシナリオやベンチマークと連携している。
世界中の大手企業が既にACTを用いて脱炭素移行戦略の評価に取り組んでいる
ACT評価を受けた会社には、欧州のエネルギー産業と自動車産業の大手会社が何社もある。国際的なスペインの大手石油会社であるCEPSAが、GHG排出量削減への順調な進歩しており、ACTについて以下のコメントをしている:「当社のPositive Motion strategy by 2030のACTアセスメント評価は、石油・ガスセクターとして、我々の目標に 信頼性を与え、脱炭素経済とネットゼロ達成に向けた我々の道筋を改善し続けるための最良の方法を示してくれるでしょう」。フランスの大手自動車メーカー ルノーのACTサービス体験について、「排出削減目標の定量的な評価は、新たな脱炭素移行戦略と経営プロセスを打ち出すための貴重なインプットです。」とコメントしている。 フランスではまた、国内最大手の銀行であるBNPパリバに、ACTが中小企業の気候変動対策に取り組むための強力なフレームワークとして認められている。
ACTがついに日本に!
現在では、ACTは欧州、南米、カナダで使用されている。今年、Codo Advisoryは、アジアにおけるACTのネットワークを活性化し、日本でのACTサービスを開始した。日本は世界5位のCO2排出国であり、ネットゼロ達成のためには、信頼できる計画とベンチマーク、そしてそのベンチマークに基づいた迅速な移行が不可欠である。今こそ、it’s time to ACT !
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Authors
著者: Alexandra Zhasminova レビュ: Stéfan Le Dû 翻訳:Jeanne Hamidou.
Codo Advisoryについて
Codo Advisory は「持続可能社会に向けた日本企業の革新的行動を促し、その鼓動を世界に響かせる」をミッションに、脱炭素経営への移行戦略の策定・評価・モニタリング等を実施します。ゼロカーボンシティを表明し、かつ産学官が一体となって国際金融機能を推進する福岡市に本社を構え、2022年4月より活動を開始しました。サービスの詳細 ・ チーム・ お問い合わせ