1%から始まる義務化:日本のSAF政策が書き換えた数字
2026年7月23日、日本の持続可能な航空燃料(SAF)政策は前提を書き換えた。2030年度から石油元売事業者に供給を義務づける——ただし出発点は、ジェット燃料供給量の1%。これまで設計されていた水準は、数量に直せば10%だった。後退なのか、それとも現実に合わせた設計変更なのか。2026年末に迫る最終投資決定の期限を手がかりに、日本のバイオ燃料政策がいま立っている場所を整理する。
2026年7月23日、日本の持続可能な航空燃料(SAF)政策は前提を書き換えた。2030年度から石油元売事業者に供給を義務づける——ただし出発点は、ジェット燃料供給量の1%。これまで設計されていた水準は、数量に直せば10%だった。後退なのか、それとも現実に合わせた設計変更なのか。2026年末に迫る最終投資決定の期限を手がかりに、日本のバイオ燃料政策がいま立っている場所を整理する。
日本の第7次エネルギー基本計画がデジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)を軸とした経済成長を支えるため、安全で信頼性の高いエネルギー供給を政府の要請を背景に策定されている点を取り上げた。こうした移行を実現するには、データセンターの拡張、工業炉やボイラーなどの局所的な化石燃料由来の熱源の電化を支えるため、企業の電力需要が大幅に増加する。
世界的にエネルギー需要がこれまでにないペースで増加する一方で、地政学的な対立が深まっており、各国はエネルギーの安定確保をこれまで以上に重視するようになっている。さらに、気候変動の影響が予測以上のスピードで深刻化し、対応の遅れが将来の取り返しのつかない環境変化を引き起こすリスクにつながる可能性が指摘されている。こうした環境をめぐる国際動向に加えて、日本国内でも経済構造の変化や政治の不安定さも重なり、社会基盤となる重要なインフラ開発への関心が高まっている。このような状況下で、日本企業が低炭素型のビジネスモデルへ移行するためには、安定的でクリーンなエネルギー源を確保することがこれまで以上に重要と考えられ、「原子力発電の再拡大」と「メガソーラー(大規模太陽光発電施設)の台頭」の2つの戦略が、日本のエネルギー目標を達成する手段として注目されている。本連載では、各戦略の科学的根拠を検証し、その利点、コスト、そして日本のエネルギーシステム全体における位置づけを多面的に考察する。まず前編では、変化するエネルギー情勢の全体像と、原子力発電・メガソーラーを解決策として期待する世論の動向を分析する。各戦略における技術を深掘りし、日本における最も適したエネルギーミックスを考察したい。
CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)は、二酸化炭素(CO₂)の排出源(発電所、産業施設、その他の主要な排出者)でCO₂を回収し、CO₂を再利用するか、大気中に放出しないように貯留するためのさまざまな技術を包含する。CO₂回収の様々な研究や功績は何十年も前から存在してきたが、パリ協定の下で設定された気候変動目標の達成に向けて、CCUSは再び注目を集めている。本稿ではまず、CCUSについて解説し、次に、CCUSのいくつかの世界的なケーススタディを取り上げながら、当技術の進化と課題を説明する。そして最後に、日本におけるCCUSの現状について取り上げる。
日本はジレンマに直面している。15年前、日本が世界で最も安全な原子力発電の推進者だった頃、日本はパリ協定が2050年ネットゼロを目標にすることを各国に求めるずっと前から、野心的な排出削減目標を掲げて世界をリードしてきた。しかし、その宣言からわずか1年足らずで、原子力発電の拡大、つまり日本で最も実現可能なカーボンニュートラルなエネルギー源の拡大は撤回された。